2014年8月12日

ウロボロスの蛇


今日は、タロットカードに登場するシンボルについてのお話です。

ウロボロス (ouroboros, uroboros)とは、古代の象徴のひとつで、己の尾を噛んで環となったヘビ(もしくは龍)を図案化したもの。



ヘビは、脱皮して大きく成長するさまや、長期の飢餓状態にも耐える強い生命力などから、「死と再生」「不老不死」などの象徴とされてきました。そのヘビが、自らの尾を食べることで、始まりも終わりもない完全なものとしての象徴的意味が備わったといわれています。


ふうん、そうなんだ・・・と半ば納得しそうになりつつ、鋭い方は素朴な疑問が浮かんできたのではないでしょうか。
「自分で自分の尾を食べちゃ終わりでしょ。なんでこれが不老不死永遠のシンボルなの??」

うん、そう思いますよね。私も思いました。
図としては面白いけど、賢い蛇にしちゃ失策じゃないかと。

解決のキーワードは「長期の飢餓状態にも耐える強い生命力」というのにありそうです。
つまりこの蛇は、基本なにも食べなくても大丈夫なはずですきっと。
でも、口の中になにか入ってれば、食べた気分になってそれだけで満足するというか、
基本食べなくてもいいんだけど、食べる真似をしとけば一層空腹は感じないというか、
そんな生物なんだと思います、私の空想では。

自分で自分の尾を噛んでいさえすれば、他からのエネルギー補給は不要で、きっちり自己完結しながら永遠に生きながらえる。それで、尾を噛む蛇は、完全無欠、永遠に循環するエネルギーの象徴として使われるようになったのではないでしょうか。皆さんはどう思われます?

さて、そんなウロボロス。
ウロボロスのイメージはアステカ、古代中国、ネイティブ・アメリカンなどの文化にも見受けられるそうですが、今日みられる自らの尾をくわえたウロボロスの図の起源は、紀元前1600年頃の古代エジプト文明にまでさかのぼるといわれています。

エジプト神話で、太陽神ラーの夜の航海を守護する神メヘンがこれに当たり、ラーの航海を妨害するアペプからラーを守るため、ウロボロスのようにラーを取り囲んでいます。



この画像より時代が下ると思われますが、ヘル・ウベンのパピルスには、今みるウロボロスと同様の図像が描かれています。


この循環する永遠の生命のシンボルは、世界中の多くの文明で用いられてきました。21世紀の今では、自然を説明する図像としても用いられています。


2匹で構成するウロボロスもあります。
私には、これは陰陽、男女、キングとクィーンのように見えますが。



これはエッシャーの蛇。ウロボロスではないけれど、おもしろい。




タロットカードに登場するウロボロス


世界
ウロボロスを象徴的に使っています




魔術師
腰に巻いたベルトにご注目



ワンドのキング
蛇ではなくサラマンダー(火龍)ですが、ちゃんと尾をくわえてます。


ウロボロスをちょっとひねるとこうなります。



次回はこの「無限大」について書きましょう。


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